かぶせ茶とは
- かぶせ茶とは
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かぶせ茶は、玉露の栽培と同じく、茶葉摘み取り前の一定期間、茶畑のまわりに棚を作り、そのうえに葦簀(よしず)などの自然素材や黒い化学繊維で覆いをした「覆下茶園」で被覆栽培(ひふくさいばい)にて栽培された茶葉を使って煎茶の製法で作られた日本の緑茶の1つです。「冠茶」と漢字で表記されることや、関西地区では「熱湯玉露」という名前で売られていたりします。
茶葉は日光を浴びると葉の中で「光合成」という働きが起こります。 日光を制限して新芽を育てることにより、アミノ酸(テアニン)からカテキンへの生成が抑えられるため、アミノ酸の含有量が高く、逆に渋みの素となるタンニンなどが少ないお茶が出来上がります。
玉露との違い
玉露との違いは、被覆を行う期間(遮光期間)にあります。
かぶせ茶は玉露と同じく日光を遮り茶を育てます(被覆栽培)が遮光期間が摘み取り前約1週間から10日前後となっており 遮光期間が玉露より短くまた遮光率は玉露より低く50%前後なのが一般的です。(玉露の遮光率ははじめ70%で茶摘み前90%以上。)
遮光期間 | |
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玉露 | 早ければ新芽が出始めたら、もしくは茶摘の約3週間前から |
かぶせ茶 | 摘み取り前、約1週間~10日前後 |
※遮光期間及び遮光率は一般的な栽培方法で産地、環境等異なります。
このようにかぶせ茶の遮光期間は玉露よりも短い期間となっており、その味わいは、煎茶の味わいを感じながらも覆い香も味わえるなど煎茶と玉露の中間的な味わいとなっています。
かぶせ茶と煎茶の違い
かぶせ茶と煎茶の違いは、その栽培方法にあります。 これまで説明してきたように、かぶせ茶は、摘み取り前の一定期間、茶樹に当たる直射日光を制限する方法(遮光)で栽培されているのに対し、煎茶は摘み取りまで終始露天で栽培されたお茶です。
日光を遮られた茶葉は旨味成分であるアミノ酸が豊富に含まれ、特有の味や香りを醸し出します。一方、露天栽培されて作られた煎茶は、程よい渋みと爽やかな香りですっきりとした飲み口となります。
遮光期間 | 味わい | |
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煎茶 | 遮光しない | 程よい渋みと爽やかな香りですっきりとした飲み口 |
玉露 | 早ければ新芽が出始めたら、もしくは茶摘の約3週間前から | とろりとした口当たりとふくよかな甘みとまろやかな味わい、そして特有の深みのある香り(覆い香) |
かぶせ茶 | 摘み取り前、約1週間~10日前後 | 煎茶と玉露の中間的な味わい |
煎茶、かぶせ茶、玉露はすべて緑茶の一種
玉露は、緑茶のなかの最高級品
これまで紹介してきた玉露、かぶせ茶、煎茶はすべて、日本茶の中でも緑茶の一種となります。
- 緑茶とは
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お茶の茶(生葉)は、摘採された時点から酸化酵素の働きによって変化(発酵)が始まりますが、新鮮な状態で熱処理(殺青)することで酸化酵素の働きを止めることで発酵をさせずに作られたお茶のことを緑茶(不発酵茶)と呼びます。 (※殺青:摘採された茶葉に熱処理を施すことにより、酸化酵素の働きを止めること。)
日本にて作られている緑茶は以下のものがあります。
二次加工茶(緑茶)
三重はかぶせ茶生産日本第一位
伊勢茶の産地で知られる三重県は、お茶の生産量が静岡、鹿児島に次いで全国第三位。この三重県では、かぶせ茶の栽培も積極的で、国内生産量が第一位となっています。