HOJOのプーアル茶

お茶好きの方はご存知の方の方が多いかと思いますが、HOJOは世界から厳選された茶と茶器の販売を行なっている会社で北城彰(ほうじょうあきら)氏が代表を務めています。


お茶の専門店HOJO

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当サイトの管理・運営は戸田裕也により行われていますが、茶に関する多くの知識は、HOJOオーナー北城氏からご教授を頂いており、私にとって茶の師匠と言える方です。


HOJOのお茶のセレクションは多岐に渡っていますが、その中でもセレクションが特に豊富なのが、中国雲南省にて作られて作られているプーアル茶です。


北城氏は、自ら雲南省に毎年約2ヶ月ほど滞在しながら、厳選されたプーアル茶の買い付けを行っています。


私も、このHOJOのプーアル茶のファンであり、今でも初めてHOJOのプーアル茶を飲んだ際の感動を覚えています。


縁があり、2018年に4月に北城氏に同行し、中国雲南省までプーアル茶の買い付けの現場を見学させて頂きましたが、こちらではその時の体験と共にHOJOのプーアル茶の魅力について紹介してみたいと思います。


HOJOのプーアル茶

上記でも説明の通り、HOJOの茶に興味がある方はご存知かと思いますが、HOJOの茶のセレクションで特にラインナップが豊富なのは、プーアル茶です。

耿馬古樹生(商品例)

  • 種類:プーアル生茶
  • 産地:中国雲南省

商品ページ

そんなプーアル茶ですが、その種類が2つあることを知る方はあまり多くはありません。



2種類あるプーアル茶

プーアル茶にはその種類が2種類存在しており1つがプーアル生茶で2つ目がプーアル熟茶です。

プーアル茶の種類
  • プーアル生茶
  • プーアル熟茶

日本でもダイエットに効果があるなどとしてプーアル茶という名前を目にしたことがある方や実際に飲まれたことがある方も多いかもしれませんが、そのほとんどがプーアル熟茶であると思われます。


詳しくは、HOJOブログプーアル茶についてみんなが知りたいことで書かれていますが、簡単に説明するとプーアル生茶は、茶の摘採後、茶葉を①釜炒り殺青後、②揉捻、そして③天日乾燥の工程を行うもので、プーアル熟茶の場合、③天日乾燥の後に④菌発酵を加えています。


プーアル生茶とプーアル熟茶

プーアル生茶

  • ①釜炒り殺青
  • ②揉捻
  • ③天日乾燥
  • ④緊圧→完成

プーアル熟茶

  • ①釜炒り殺青
  • ②揉捻
  • ③天日乾燥 ※1散茶・毛茶なる。
  • ④緊圧 ※2餅茶となる
  • ⑤菌発酵
  • ⑥緊圧→完成

収穫された茶葉


釜炒り殺青


天日乾燥


プーアル生茶(餅茶)


※1散茶・毛茶、※2餅茶について
プーアル生茶としては、緊圧させる前の散茶と言われる状態で完成となりお茶として飲むことができるが、遠方への輸送や保存を容易させるため緊圧(餅茶と呼ぶ)させることがほとんど。

一般的に、『プーアル熟茶』は海外への輸出目的や中国観光客にお土産ものとして販売されるもので、お茶としての品質が高いものはあまり多くありません。(※もちろん高品質なプーアル熟茶も存在します。)


一方で、中国茶マニアを魅了し、年代物は陳年プーアル茶などと呼ばれ超プレミアがつき投機目的などで売買されるのは『プーアル生茶』の方です。


この『プーアル生茶』が日本及び、中国の外であまり目にすることがないのは、品質の高いプーアル生茶の数が非常に限られているため中国内での争奪戦が激しいことや、このプーアル生茶の買い付けが中国人以外の人間にとって非常に困難なものであることが考えられます。



中国茶の買い付けについて

通常中国茶を買い付けをする場合、まず考えられるのが有名な茶市場を訪れ茶を仕入れる方法です。有名な茶市場というと以下の茶市場などが挙げられます。


中国有数の茶市場(例)
  • 広州 ※芳村茶葉市場など
  • 上海 ※数カ所
  • 安渓 ※中国茶都
  • 昆明 ※雲南茶葉批発市場など

これら茶市場は、多くの種類の茶を一箇所で買い付けを行うことができ、非常に便利で効率がよい反面、品質の高い茶を買い付けることができるかというと、なかなかそういうわけにはいきません。


品質の高い茶は生産量が限られおり、観光客が容易に訪れることができる茶市場に回ってくることはそうそうありません。


本当に高い品質のお茶を望むのであれば、それぞれの茶の産地の問屋を訪れる必要があり、さらにこだわる茶のバイヤーは生産者に直接コンタクトを取り問屋に卸される前に買い付けを行っています。


北城氏は、まさにこの最後の方法をとっており、雲南省昆明から南にバスで14時間以上離れた場所を拠点に、毎日さらにそこから車で一時間以上かけて山へ向かい、自分の足で山を登りながら優れた茶樹を見つけ出してはその土地を所有する茶農家と交渉をし、自身の理想の茶に仕上げてもらうため『茶のカスタムオーダー』を行っているのです。



気候に変化し、毎年異なる茶の特徴

HOJOのプーアル茶の商品ページを確認すると分かるように、商品には(例:東山生茶 2017)商品名の横に年数が記載されています。この年数は当然ながら茶が作られた年のことですが、HOJOではあえてこのように年数を記載してプーアル茶の販売をしています。


茶は植物です。当然ながら植物の成長には気候の変化が非常に大きな影響を及ぼします。例えば、茶の収穫前の長雨は茶の成長を早め品質を極めて下げる要因となりますし、異常な日照りや気温の変化も大きな影響を持つことになります。


お茶はゆっくりと時間をかけて育つことが、高品質の茶を作る上で最も重要な要素の1つです。そのためには、有機無機に関わらず、肥料は与えることは良いではありませんし、剪定も決して行いません。


非常に時間をかけてゆっくり育った茶樹から採れる茶葉は通常よりも小さく、そして密度がとても高く、さらにミネラルを豊富に含みます。このような茶葉から作られるお茶は強いにコクと余韻をもたらしてくれます。


一部ではありますが、理想の高い茶作りを目指す中国の茶師たちはそのことをしっかりと理解しており、極限まで自然に近い環境でお茶作りを行っています。そして、北城氏がそのような人々と付き合いを行っていることはいうまでもありません。


このように北城氏は毎年の気候の変化や茶樹の状態を確認し、どの茶をどれくらい仕入れるかを判断し買い付けを行っているため、毎年の同じ名前の商品でも商品の特徴も違いば、価格も異なってくるのです。



茶樹ごとに茶の特徴が異なる

厳密にいうと、茶の個性は茶樹(木)ごとに、異なります。同じエリアに生育しながらも日の当たり具合など微妙な違いにより茶の品質は異なり、時として突き抜けて華やかな香りと強いコクを持つ茶葉を持つ茶樹が存在する場合があります。


HOJOではそのような尖りのある、通常ではあり得ないほどの少量の茶葉だけを集めて数量限定でオンライン販売も行っていたりもします。


高い品質の茶はいつでも限られているものです。このような販売方法は安定的な供給量が必要とされる大手お茶屋では決して真似ができることで方法であること、そして如何にHOJOが高い理想を持ってお茶作りを行っているかを理解して頂けると思います。



HOJOの熟成プーアル生茶

プーアル生茶は茶の熟成を大いに楽しめるお茶の1つです。


新茶のプーアル生茶はそれはそれでとても新鮮な茶を味わうことができますが、年数を重ねるごとに変化する熟成茶もはとても魅了的です。


特に茶の熟成の知識に長けた北城氏の熟成プーアル生茶からは濃厚な甘い蜜の香りを楽しみことができ、また新茶にはない味わいを楽しむことができます。



茶の品質は、茶の育つ環境に比例する

野放茶園


上の写真は、雲南省臨滄市のある山にて、男性が茶樹から茶を採取している場面です。中国では『野放茶園』と呼ばれています。


『茶の品質は、茶の育つ環境に比例する』。これは、北城氏からお茶について学ぶ上で最初に教えて頂いたことです。限りなく自然の生態系の中の1つとして育った茶葉から作られた茶は、喉の奥に吸い込まれていくようなコクと透き通った飲み心地、そして長い余韻をもたらしてくれます。


HOJOのプーアル生茶のいくつかは、このような野放農園で育った茶樹から採れた茶を用いて作られています。


その中でも私のお気に入りは耿馬古樹生(プーアル生茶)です。


耿馬古樹生

  • 種類:プーアル生茶
  • 産地:中国雲南省

商品ページ


野放茶園の特徴としては以下のことが挙げられます。


野放茶園の特徴
  • 種が撒かれた時から人の手が全くかけられていない
  • 人為的に栽培を開始された点で、野生茶とは異なる
  • 周りの草木などの植物と共存して育っており、農薬はおろか、肥料も全く与えない
  • 慢性的な栄養不足のため、茶葉が黄色〜薄緑色をしている

上記のような厳しい環境で育てられた茶は、病気や虫に非常に強く育ちます。また肥料を与えていないため根は栄養を得るため地面深くまで根を張りそこから豊富なミネラルを取り込みます。


私は2018年4月に雲南省のある産地にて北城氏に同行させて頂き、これらの野放農園を実際にいくつか見学することができました。


道無き道をかき分けて歩く。前を歩く北城氏


当然ながら野放茶園へ行く道は整備されているわけではなく、道無き道をかき分けて行く必要があります。このような進行がままならない山野をかき分けて進むことを日本では「藪漕ぎ」(やぶこぎ)と呼ぶそうで、とても過酷なものでした。


実際の茶園もここが茶園だと言われなければわからないような状態ですが、そこには茶の収穫を行う男性が厳しい環境の中作業を行なっていました。



私は、この雲南省にて茶園を回るたびに、北城氏に言われるがままに、新茶を採り、生のまま口の中で噛み茶の品質をチェックをしてきました。


茶葉の傾向としては、苦味がほとんどなく、マスカットのような香りが口中に広がり、同時に強いコクをと長い余韻をもたらすものばかりでした。



これらの傾向は、茶樹の生育環境がより自然に近い(野放農園のような)環境になればなるほど、コクと余韻が強くなり、また茶の樹齢高くなればなるほど、苦味が消え透き通った味わいを持っていました。



製茶風景

こちらは、北城氏が取引を行っている茶師が持つ製茶工場を見学した際の写真です。この茶師はとても勉強熱心な方で、美味しい茶を作るためにの努力を惜しまない方で、北城氏との信頼関係も強く、このような信頼関係が品質の高いHOJOの作りの要因となっていることを窺うことができました。


とても綺麗に整備されている建物内


収穫された茶葉


プーアル茶の製造工程の釜炒り殺青の風景


できた茶を試飲(すでに24時を越えている)


ぜひ一度HOJOのプーアル茶をお試しになってみてください。

PROFILE

戸田裕也、IDLE MOMENT代表。
1983年生まれ。米国大学院卒、MBA取得。
茶業、グラフィックデザイン、ウェブデザイン、写真。


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