阿里山茶とは
阿里山茶は、台湾嘉義県阿里山一帯を産地とする台湾を代表するお茶の1つです。
利用される茶の品種により特徴は異なりますが、全体の傾向として、阿里山茶は緑茶に近くすっきりとした飲み心地で、フルーツや花の香りを連想させ、仄かに甘い後味が特徴です。
阿里山は、台湾屈指のパワースポットとして人々が絶えない人気の観光地として知られています。
阿里山の茶園を訪れた際に記録は以下にて紹介しています。
この地域の標高は800~1700mほど。アクセスポイントの嘉義縣駅から阿里山へ向かう山道では麓から頂上に向かうまで広いエリアで茶園、また製茶工場を見かけることができ、多くのお茶好きがいいお茶を求めに買い付けにやってきます。
標高の高さは、お茶づくりにおいて非常に大切な要素として知られていますが、とりわけ、この山が産するお茶は『阿里山高山茶』とも呼ばれ、低地のお茶とは異にする、味・香りにおいて高い評価を得ています。主産地である石棹郷で収穫される阿里山茶は別名「珠露茶」と呼ばれることもあります。
日光を遮る慢性的に続く霧も、茶の品質を高める要因となっています。
高山烏龍茶について
- 高山烏龍茶とは
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『高山烏龍茶(高山茶)』とは、台湾で一般的に用いられる呼び名で、標高1000m以上のいわゆる『高山』で収穫された茶を原料として作られた烏龍茶のことを意味しています。
一般的に茶は、標高が高くなればなるほど、味と香りに大きな影響を与え、品質の高いお茶が生産されると言われています。 高山烏龍茶の有名な産地として、梨山、阿里山、杉林渓などが挙げられます。
- 著名な高山烏龍茶の産地
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- 梨山(りさん):標高約2600m
- 商品名:梨山高山茶
- 杉林渓(さんりんしー):標高約1800m
- 商品名:杉林渓高山茶
- 阿里山(ありさん):標高約1600m
- 商品名:阿里山高山茶
阿里山茶の品種
阿里山茶とは、阿里山周辺で採取された茶葉を使って製茶されるお茶の総称のことです。製茶に用いる品種や製茶方法により阿里山茶の特徴は異なります。
現在阿里山茶に用いられる品種は、主に①青心烏龍(軟枝烏龍)と②金萱烏龍があります。
なお青心烏龍を用いて製茶された阿里山茶を一般的に『阿里山茶』と呼び、金萱烏龍を用いた場合に『阿里山 金萱烏龍』などと呼ばれています。
- 阿里山茶が作られる品種
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- 青心烏龍
- 金萱烏龍
①青心烏龍
青心烏龍を用いて作られた茶を一般的な阿里山茶と呼びます。(金萱烏龍を用いた場合に阿里山 金萱烏龍としていることが一般的。) 青心烏龍種から作られたお茶はすっきりとした飲み心地、爽やかな香りで仄かな後味が特徴です。
②金萱烏龍
台湾の茶業改良場で品種改良されたもので台農8号と硬枝紅心という品種を交配させて作った品種『台茶12号』のこと。
乳香と呼ばれる濃厚なミルクの香りがあり、優しい甘みとさわやかな風味が特徴。そのミルキーな甘い香りから、別名 奶香烏龍(ナイシャン)と呼ばれることも。※中国語で奶香とは、ミルクの香りの意。
翠玉という品種同様、中早生種で旱魃や病虫害に強く、加えて環境適応性にも優れる。1つの茶樹あたりの産量も高いため、多くの茶農家にも好まれており、阿里山以外にもほぼ台湾全土で栽培されています。
阿里山茶の製造工程
一般的な阿里山茶の製造工程は以下の通りです。
01. 日光萎凋(発酵)
摘んできた茶葉を日光に当てて萎れさせるこの作業を日光萎凋といいます。茶葉内の水分を蒸発させるとともに、茶葉の組織に変化を起こさせるこの作業はウーロン茶には欠かせない工程です。緩やかに発酵(発酵)が開始され、爽やかな香りが広がり始めます。
日光が強すぎる場合、茶葉がダメージを受けてしまうので上に黒い囲いを設置して状況によって日光を調整します。
02. 室内萎凋(発酵)
クーラーで室内温度と湿度が調整された部屋に茶葉を移動し、室内萎凋を行います この作業中、葉の中の水分が徐々に蒸発し、発酵はさらに進み、室内は花のような香りが広がります。
場合により、竹で出来たドラムに茶葉を移し、攪拌しては萎凋するという作業も行います。これらの作業中、葉の中の水分が徐々に蒸発し、発酵がさらに進み、香りが発生してくる。
03. 殺青
発酵が完了後、茶葉を高温で加熱。熱により酸化酵素を失活させます。この作業を殺青(発酵を止める)といいます。
04. 揉捻
殺青後、茶葉を大きな白い布に包み、ぎゅっと口を強く締めて大きな球体にし機械を用いて根気よく揉む作業を包揉(ほうじゅう)といいます。
袋の端をぐるぐると強力にねじることで、袋は圧縮され茶葉は強く加圧されます。 包揉の後、布をほどきバラバラに戻す『解塊(玉解)』と呼ぶ工程を繰り返すことで茶葉は次第に硬くしまり、球状に成形されていきます。
05. 乾燥
茶葉にまだ残っている水分を取り去るために、乾燥機にかける乾燥工程。茶葉の水分が5〜7%になるまで乾燥させると、豆のようなコロコロした状態になっていきます。
以上の工程を完了した茶葉は日本でいうところの『荒茶』となります。この状態のお茶は、清々しい香りと爽やかな味が特徴で、この『荒茶』を好んで購入する人も多くいます。
06. 火入れ(焙煎)
上記で完成した『荒茶』に熱処理を施すことを火入れ(焙煎)といいます。火入れをしていない『荒茶』は爽やかさが際立つ反面、保存がききません。
火入れは必ずしも必要な工程ではありませんが、これを行うことでお茶の保存性を高めることができます。また火入れは、保存性を高めるだけでなく、荒茶にはない独特の『味』と『香り』を引き出します。
このように、火入れを行なったお茶は、阿里山 金萱烏龍 炭焙(炭による焙煎)などと呼ばれ、こちらも多くのファンを持っています。
清香型と炭焙型
上記で説明した通り、製茶過程で、揉捻・乾燥後に火(焙煎)入れをするか、もしくはその焙煎方法によりお茶の味わいが異なってきます。
全く火を入れない場合は一般的に清香型と記載し、炭焙(伝統的な焙煎方法)を施した場合、商品名に炭焙と記載し、区別されます。
- 例
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- 阿里山茶 清香
- 阿里山 金萱烏龍 炭焙
以前は重発酵で焙煎を強めに行なっている炭焙型が主流でしたが、現在の台湾茶の現在のトレンドとして、火を入れない「清香型」と言われるお茶が多くなっています。 清香型と炭焙型の特徴は以下の通りです。
清香型
- 火(焙煎)を全く入れていない、もしくは軽めのに焙煎しているタイプ
- 一般的に非常にすっきりとした味わいと、フレッシュな香りが特徴
- 烏龍茶の流れとして、全く火が入ってないタイプが人気が高い
- 火を入れているに比べて茶葉の色がより緑色をしているためによく緑茶と勘違いされることがある。
炭焙タイプ
- 炭火焙煎のことで、伝統的な焙煎方法。炭の香りで独特の香ばしさが付くと同時に保存性も高まる。
以下の記事では、阿里山茶の産地、阿里山の茶園を訪れた際の記録を紹介しています。
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