有機栽培とオーガニックの違いについて
みなさんは、以下に紹介しているお茶の栽培方法の違いが分かりますでしょうか?
- 有機栽培茶(有機茶)
- オーガニック茶
現在、日本では有機とオーガニックについては、同じ意味として使われており、上の2つのお茶は、ある同じ条件下で栽培された茶として考えることができます。
後ほど、詳しくご紹介していきますが、「有機栽培茶」、「有機茶)」、「オーガニック茶」などと商品に表示するには、有機JAS規格という法律に則って登録認定機関の審査を受け、「有機JAS認証」を取得しなければなりません。
例えば、有機JAS認証を取得されている月ヶ瀬健康茶園さんの「有機一番摘み 月ヶ瀬煎茶」を例に確認してみます。
有機一番摘み月ヶ瀬煎茶
- 月ヶ瀬健康茶園
- 代表:岩田文明
- 住所:奈良市月ヶ瀬尾山1965
- Google map
- 取得認定制度・届け出等:有機農業認証協会 認定番号B-05041402
商品名に「有機」という文字が確認できますが、上で説明した通りこれは有機JAS認証を取得されているからこそ利用できるワードとなります。
また、パッケージの左上には、マークがあることが確認できます。これは、有機JASマークと呼ばれるものです。
この有機JASマークは、有機認証を取得された事業者が商品パッケージに記載することができるマークであり、私たち消費者はこのマークを確認することで、この商品が有機栽培によって作られたお茶であることが確認できます。
- 認証事業者名:月ヶ瀬健康茶園
- 検査機関名:有機農業認証協会
- 認定番号:NB-17092903
「有機栽培茶」、「オーガニック茶」と「無農薬茶」との違いについて
これは、よく勘違いされる点となっていますが、現在の法律では「有機栽培茶」や「オーガニック茶」を「無農薬茶」とは呼ぶことができません。
また、日本では「無農薬茶」と商品パッケージに記載をして商品を販売することも法律で禁止されています。 その他、禁止されているワードとしては、以下のものがあります。
法律で利用が禁止されているワード
- 「無農薬」
- 「減農薬」
- 「無化学肥料」
- 「減化学肥料」
「無農薬」、「減農薬」、「無科学肥料」、「減化学肥料」の表示は禁止
上記でも説明している通り、現在は法律上「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」といった表示は、農林水産省『特別栽培農産物に係る表示ガイドライン』で禁止されています。
『有機栽培=無農薬』とよく思われがちですが、そうだということはできないのです。
たとえば、日本においては農薬を以下の3つに分けることができますが、『①有機JAS規格で使用可能な農薬』の言葉通り、有機栽培においても一部の農薬の利用が認められているのです。
- 農薬の3つの分類
-
- ①有機JAS規格で使用可能な農薬
- ②節減対象農薬
- ③特定農薬(食酢、重曹、天敵)
農家さんの中には、こだわりを持ち無農薬や無化学肥料に茶や野菜の栽培を行なっている方も多くいらっしゃるかと思いますが、実際には農薬を使用したにも関わらず「無農薬」と謳った業者が多発したことや、残留農薬や近隣田畑で使われた農薬の影響で農薬が検出されたり、「無農薬栽培」と認定できる認証機関や法律が整っていないことなどが、問題として挙げられます。
また、「減農薬」「減化学肥料」の表示は、削減の比較対象となる基準、削減割合、そして何が削減されたのか不明確等、消費者にとって曖昧で分かりにくい表示であると判断されています。
そのような状況から、現在では「無農薬」「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」といった表示は、農林水産省『特別栽培農産物に係る表示ガイドライン』で禁止されています。
有機JASについて
こちらでは、有機JASについて詳しく説明をしていきます。
- 有機JASマーク
-
有機JASマークは、太陽と雲と植物をイメージしたマークです。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられています。 有機食品の検査認証制度
有機JASとは
世界的にオーガニック食品への関心が高まる中、平成13年(2001年)4月1日に発効した改正JAS法により国内で販売する農産物や農産加工食品に「有機」または、「オーガニック」と表示するには、有機JAS認証機関による認定を取得する義務が課せられました。
農林水産大臣の認定を受けた登録認定機関が、生産工程管理者(生産者)の申請を受けて圃場(ほじょう)ごとに認定し、認定を受けたもののみが有機農産物・有機栽培・オーガニックなどの表示ができ、有機加工食品原料となりうる。
現在、EU、スイス、米国、カナダなどと有機農産物および有機農産加工食品の認証制度について、相互承認をしている。
有機JAS規格を茶の生産に当てはめた際の要点は以下の通りです。
- 3年以上、化学的に合成された農薬や肥料及び土壌改良資材を使用を避けることを基本とした栽培方法であること
- 慣行栽培圃場肥料や農薬の飛散がない茶園で生産された生葉であること。製造や包装の工程で有機農産物でないものと混合しないこと。またそれが記録されていること
- 遺伝子組み換え技術を用いてないこと
- 以上のことが遵守されているかを毎年農林水産省に登録された認定機関より審査を受けていること
この検査を通ったものだけが、以下のワードを表示することができます。
- 有機農産物の名称の表示
-
- ①「有機農産物」
- ②「有機栽培農産物」
- ③「有機農産物〇〇」又は「〇〇(有機農産物)」
- ④「有機栽培農産物〇〇」又は「〇〇(有機栽培)」
- ⑤「有機栽培〇〇」又は「〇〇(有機栽培)」
- ⑥「有機〇〇」又は「〇〇(有機)」
- ⑦「オーガニック〇〇」又は「〇〇(オーガニック)」
- ※「〇〇」には、当該農産物に一般的な名称を記載すること。
農林水産省に登録された登録認定機関について
登録認定機関とは、農林水産大臣に登録された第三者機関で、有機JAS制度の基準を満たして生産することができる生産者・加工品メーカーであるかどうかの検査・認定を行う機関です。
また、認定後も生産工程管理者や製造業者に対し、定期的に実地の調査を実施したり監査を行います。
有機登録認証機関一覧は、以下の農林水産省ウェブサイトより確認することができます。
有機JAS認証の問題点
お茶の栽培に関わらず、農薬や化学肥料を使わずに栽培していても有機JAS認証を取得しない生産者もたくさんいらっしゃいます。
色々な理由が考えられますが、大きな理由の1つとしては、認証までの手間、申請や管理に掛かる費用の問題が考えられます。
これらの費用は生産者が支払うことになっているおり、この手間と費用はだれでも手軽に認証を取得できないのが負担なっているのが現状となっています。
当然ながらこれらの費用を賄うべく、有機認証となった商品の価格が増加してしまい結果的に有機栽培の商品が高価格化となっていく流れにも繋がってしまっているのです。
特別栽培農産物について
特別栽培農産物についても、「有機栽培」や「無農薬」という言葉同様にしっかりとその意味がしっかりと理解されていないことも多いようです。
商品例
特別栽培農産物に関して重要な点としては以下の2つが挙げられます。
- 当該農産物の生産過程等における化学合成農薬の使用回数 が、当該農産物の栽培地が属する地域の同作期において当該農産物について慣行的に行われている使用回数(土壌消毒剤、除草剤等の使用回数を含む )の5割以下であること。
- 当該農産物の生産過程等において使用される化学肥料の窒素成分量が、当該農産物の栽培地が属する地域の同作期において当該農産物について慣行的に使用される化学肥料の窒素成分量の5割以下であること。
有機JASについて説明した際にも紹介していますが、日本においては農薬を以下の3つに分けることができます。
- 農薬の3つの分類
-
- ①有機JAS規格で使用可能な農薬
- ②節減対象農薬
- ③特定農薬(食酢、重曹、天敵)
今回該当する農薬は、②節減対象農薬でなっており、農産物が生産された地域の慣行レベルに比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下である場合に、特別栽培農産物として該当し、表記が許されています。
特別栽培農産物表示のガイドラインについては以下のリンクより確認することができます。